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インタビュー: Emily Oberg from Sporty & Rich - 1

Emily Oberg  (エミリー・オーバーグ) が手がけるSporty & Rich (スポーティ&リッチ) 。心地よいエッセンシャルアイテムの制作から彼女のファッション界における長いキャリアや「ウェルネス」への愛情まで、エミリー・オーバーグは究極の現代女性といえる存在です。LVRはSporty & Richのニューコレクションを10月から展開します。Sporty & Richを生んだ、スタイリッシュでスマートなエミリー・オーバーグのインタビューをご覧ください。 

Complex (コンプレックス) で働き始めその後KITH (キス) に移りましたが、スポーツウェアを展開するSporty & Richをいつ立ち上げようと決めたのですか?
Complexで働いていた2015年に、趣味でSporty & Richをつくりました。私はニューヨーク人の働き方やその頑張りにインスピレーションを受けました。ニューヨーク人にとって同時に2つの仕事と5つのサイドプロジェクトを持っていることは普通で、その考え方がとても気に入ったのです。最初はムードボードから始め、アイテムを少しだけ作ったりしていました。そして去年初めて、すべての力をブランドに注ぐことができるようになりました。

Sporty & Richのブランド哲学を教えて下さい。
量より質を重視したポジティブなショッピング。健康に投資し、親切さと優しさで人生をエンジョイしながら幸せを築くことです。グラフィックやキャンペーン、視覚的イメージを通してこれらのブランド精神を提唱していきたいと思っています。20年後にどこかのヴィンテージショップで見付けてもらえるようなアイテム制作に励んでいます。

インタビュー: Emily Oberg from Sporty & Rich - 2

ストリートウェアの未来はどうなると思いますか?
ストリートウェアは2、3年前にファッション界でとても大きなトレンドとなりましたが、私は幼い頃からストリートウェアを着て育ち、父親もストリートウェアを着て育っています。私にとってストリートウェアは新しいものではなく、トレンドになるものでもありませんでした。でもストリートウェアの魅力は私も分かっているので、マスマーケットの観点から多くの人に支持されたことは理解できます。ただストリートウェアはすべての人に受け入れられるものであって、エリート主義であってはいけません。ここまで大きな流行となったストリートウェアは、今は少しずつ収まりをみせていると思います。来年からは、人々は夢中になれる何か新しいものを探し求めるのではないでしょうか。

ストリートウェアの世界で、女性であるがゆえに困難な場面に直面にした経験はありますか?
イエスともノーともいえません。私が女性だからあのチャンスを掴めなかったのではということや、あの時サポートを得られなかったのは私が女性だからではないか、と思うことは時々あります。この業界の男性たちはお互い非常に協力的ですが、同じようなサポートを私に示してくれることは数少ないといえますし、それを期待もしていません。ただ私はカナダの小さな街から来て一人でゼロからブランドをつくり上げました。同世代や業界の人たちから認知されればそれに越したことはありません。
残念なことにこれが私たちが住んでいる現実の世界なのです。誰もが自分だけのことを考えていて、周りの誰かが成功したとしても、悲しいことに多くの人はそれをよく思わずに自分の成功が遠のいたと考えてしまいます。
私もできればこんな風には考えたくありません。お互いの幸せを願いながらをサポートし合うことが大切です。他の誰かが成功しているからといって、あなたが成功しないということではないということを理解する必要があります。

スタイルアイコンとなっている人物はいますか?
JFKジュニアとキャロライン・ケネディ、ダイアナ妃、ジェリー・サインフェルド、ローレン・ハットン、フィービー・フィロ、パリに住む男性、マーガレット・ハウエルです。

コレクションのインスピレーションはどこからくるのでしょうか。
私はよくetsyとebayでヴィンテージTシャツを見ています。1980~90年代のすごくクールなグラフィックをたくさん見付けることができるので、それをブランド独自のスタイルで再提案しています。これがストリートウェアの基本だと思っていて、Sporty & Richは過去に対する私の愛情から構築されています。また、Slim Aarons (スリム・アーロンズ) やIrving Penn (アーヴィング・ペン)の写真を見たり、1980~90年代のフランス版Elleを読んだりすることが大好きで、この時代の方がクールだったのかなと私なりに思ったりします。それから1980~90年代にパパラッチによって撮られた写真も見ます。彼らが撮った写真はとてもシックで、今のようなゴミ同然の写真はありませんでした。当時のパパラッチが撮っていた写真はファッション誌のようで、セレブリティの日常のカジュアルスタイルを写し出していました。

インタビュー: Emily Oberg from Sporty & Rich - 3
インタビュー: Emily Oberg from Sporty & Rich - 4

インスタの投稿が多くの人を魅了していますが、ソーシャルメディアはオンラインルックブックのような役割も果たしているのでしょうか。今はどんな写真を見てリサーチしているのですか?
インスタグラムはキャンペーンやコレクションのイメージなどを保存する場所です。現在私はパリにいますが、ヴィンテージ雑誌のElleやLui、Playboyをたくさん見付けたのでわくわくしています。

どんな女性をイメージしてデザインしていますか?
イメージしているのはインスタグラムやブランドをフォーローしてくれているすべての人、ジムに通うダイアナ妃、週末をハンプトンズで過ごすキャロライン・ケネディ、そして私自身。ブランドは健康やウェルネスを大切にしている人たちのためにあります。今、ウェルネスという分野は高価で入手しにくい産業になりつつあるので、アクセスしやすいものにしたいと考えています。ウェルネスは日常に関わりのある基本的なものでなければなりません。衣服というものはもっとシンプルなものです。いかに個性的であるとか画期的であるとかというより、自分自身が心地よく自分らしくいられることが大切だと思っています。

日々の過ごし方を教えて下さい。
現在多くの仕事を抱えています。想像以上にブランドが拡大しているので、遅れをとらないように頑張っています。これまでは自分ひとりで仕事をこなすようにしていたのですが、一人では手に負えなくなってしまいました。最近スタッフを数名雇用したのですが、今も募集中です。私は毎日ヨガやトレーニングを行う時間をつくるようにし、日没には周囲を散歩しに行きます。これらの習慣が私のメンタリティや幸せ、そして自分の存在を維持してくれています。仕事はとても重要ですが、仕事中心の人生を送りたいとは思っていません。

インフルエンサーの今後はどうなると思いますか?ブランドはこれからもインフルエンサーと協力しあっていくと思いますか?
これからもその関係は変わらないと思います。インフルエンサーはこれからも存在すると思いますし、ブランドもインフルエンサーを必要とするでしょう。ブランドはインフルエンサーとよりポジティブなパートナーシップを組むための、より革新的な方法を生み出すと思います。最近はBlackやPOC (person of color) を掲げるインフルエンサーと協力しているブランドが増えています。インフルエンサー市場には多様性やメッセージ性のある強い声が必要であり、人種に関係なく、周りの人たちをサポートするために一人ひとりが自分の役割を果たすことが大切です。
Sporty & Richは報酬制プロモーションは行わずにプレゼント制度を導入していて、プレゼントリストの50%以上はWOC (Women of Color) のインフルエンサーです。これはブランドの小さな取り組みですが、ファッション業界における体系的な人種差別と独占的体質を終わらせるためにも、自分の役割を果たしたいと考えています。

あなたの人生に欠かせない5つのこととその理由を教えて下さい。
水 – 生きていくために欠かすことはできません。
クロワッサン – クロワッサンなしの朝食は考えられません!
友人たち
家族
正直なところ、これがないと生きていけないというものはそんなにたくさんありません。物質的なことに執着せず特定のことに依存しないほうが、よりよい人生を送ることができると信じています。

Sporty & Richの今後のコラボレーションやプロジェクトを教えて下さい。
来年にはシューズとスイムウェアのコラボレーションを控えています。それから私がずっとやりたいと思っていたことを実現するためにコレクションを拡大する計画があるので、とてもエキサイトしています!

インタビュー: Emily Oberg from Sporty & Rich - 5

A special thanks to Emily Oberg.

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